とーぼくばあさん 小島加奈子
このみずうみの朝日を何百年見てきただろう。
「とーぼくばあさんはずうっとこの森にすんでいるの?」
そうだよ、子リスのぼうや、とおいとおいむかしから ここで暮らしてきたんだよ。
それはそれはかぞえきれないほどの たくさんのいのちとともにね。
はるのいのち なつのいのち あきのいのち ふゆのいのち
そらいっぱいに うでをひろげ あいするなかまたちとともに生きてきたんだ。
ところが、あるひのこと。
山からなまあたたかいかぜがふきはじめ
風はおおきなあらしとなり 森をおそった。
わしはかみなりにうたれ 木のいのちをおえたのだ。
たくさんの年がすぎ、わしのからだはゆっくり分解され
とーぼくばあさんに生まれ変わった。
ねっこは ねっかぶじいさんに生まれ変わり
わしらめおとはいつもよりそった。
わしらのしごとは 木や昆虫などの
赤ちゃんを育てること。
ゆっくりゆっくり えいようのある森の土になり
雨をきれいな水にして 川やみずうみにてわたしてゆくことだ。
この小さなエゾマツの木をみてごらん。
ぼうやのお母さんからあずかった木の実は
森のあたらしい家族になった。
「わあ、このマツはぼくの兄弟だね。」
そうだよ。わしらはみまもりつづけていきたい
みんなの森を。
いつまでも いつまでも。
ミニ絵本画集「とーぼくばあさん」
北海道支笏湖の森で長年根っ株や倒木の絵を描いてきました。1本の大きな倒木を連作の絵物語で表現してみたいと思い、10年間こつこつ描いてきた絵を小冊子にしたものです。
【内容】 支笏湖の森で倒れた大木のおばあさん「とーぼくばあさん」。支笏湖の森の悠久の時でとーぼくばあさんが育んできたもの、命の営みや循環の物語を子リスに語っていきます。
・NHK北海道の「ひるナマ!北海道」にてご紹介いただきました
・北海道新聞「ひと‐2021」にてご紹介いただきました
・AIR-G FM北海道「みんおんJASMINE.EXPRESS」(11月10日/'22)にてご紹介いただきました。
・渡辺淳一文学館ドラマティックライヴ【朗読と音楽でつづる郷愁 Vol.3~モチモチの木に描かれる愛と勇気~】にてアナウンサー鎌田強氏による「とーぼくばあさん」の朗読をしていただきました。(2022/10/21)
川を旅する展覧会ー絵物語「とーぼくばあさん」絵画展
絵物語の舞台である千歳川の源流の支笏湖の森から石狩川の河口までの川筋の町10か所で「とーぼくばあさん」原画展をしてきました。
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2021年5月 支笏湖ビジターセンター(千歳川・千歳市)
2021年7月 自然体験学習施設二ッ池セレトナ(愛知県大府市)*愛知での飛び地開催
2021年9月 サケの遡上の時期にサケのふるさと千歳水族館(千歳川・千歳市)
2021年10月 サーモンパーク千歳(千歳川・千歳市)
2021年11月 ギャラリーあまりや(千歳川・長沼町)
2021年11月 ドラマシアターどもⅣ(千歳川と石狩川の合流地・江別市)
2022年4~5月 カフェエスキス(豊平川創成川・札幌市)
2022年7月 札幌市こども人形劇場こぐま座(鴨鴨川・札幌市)
2022年8月 旧湯山邸ギャラリー(当別川パンケチュベツシナイ川・当別町)
2023年4月 Cafe Anjour(発寒川・石狩市)
2023年5月 マウニの丘別邸(石狩川河口・石狩市)川旅
・北海道新聞千歳恵庭版コラム「せせらぎ」(中原直彦氏筆)
とーぼくばあさんについて書いていただきました。ありがとうございました。